読む夫婦カウンセリング

夫婦関係の問題に休息はありません。こんな時どうしたらいい?誰にも相談できない夫婦の悩みをちょっとだけ軽くできたら。LifeDesignLaboの読む夫婦カウンセリングです。


夫婦の会話が噛み合わない原因

「あなたは全然わかってない」夫婦の会話が噛み合わない原因

カウンセリングルームでお話を伺っていると、ふたりの間に流れる「違和感」の正体に気づくことがあります。

言葉を選んで何度も話し合いを重ね、歩み寄ろうとしているのに、なぜか溝が深まってしまう……。そんな切ない「消耗戦」を終わらせるヒントは、実は意外なところに隠れています。

今回は、私たちがつい見落としてしまいがちな、対話における「時間軸のズレ」について考えてみたいと思います。

「もしも」の不安にどう答えていますか?

こんなエピソードがありました。

それは未就学児ふたりを抱えるご夫婦からの相談です。

「妻はちょっと心配性で…」

「彼はわかってくれないんです」

夫婦の会話がすれ違うのは「家族でのお出かけ」について。

上のお子さんが小学校に上がる前に海外旅行を、と考える夫と、海外は何かと心配だから国内旅行に、と訴える妻、という構図で、話し合いをすると彼女が感情的になって折り合いがつかない状況でした。

「小学生になったら機会も減るから今のうちに」と話す夫に対して「海外はムリ」と一点張りの妻。

彼女が心配しているポイントを整理していくと、

・下の子が小さいので感染症が心配

・長時間の移動は未就学児には負担

・何かあったときに言葉の不安がある

この3点に集約されるようでした。

 

これに対して彼は、

・感染症は国内旅行でも同じ

・移動はタブレット端末があれば大丈夫

・英語は自分に任せて

と明確な回答を持ち合わせているのですが、彼女は納得しません。むしろ、そんな夫の反応にネガティブな感情を募らせているように見えます。

そう、この夫婦の会話が行き違う原因はここにありました。

あなたは「分かってくれない」という行き違い

「あなたはいつも、私が嫌だと言っていることを、全然わかってくれない」

「君こそ、僕の意見なんて聞いてくれないじゃないか」

夫婦の会話が噛み合っていないのは明らかで、客観的に整理していくと問題点も見えてきますが、当事者同士が会話の最中にそれを自覚する事は簡単ではありません。

誰だって自分の視点を中心に物事を考えてしまうものですし、感情が高ぶる中でその事に気づき、相手の視点に立って物事を捉え直すことは相当難しいからです。

例えば、妻としては不安に感じることを率直に伝えているだけなのにそれを分かってもらえない。夫からすれば、楽しく旅行の話をしていたはずが、いつの間にか「自分の言動」を否定されたように感じて、つい反論に回ってしまう。実はこれ、多くの夫婦の間で起きている「すれ違い」の典型的なパターンなのです。

夫は「未来」を語り、妻は「今」を感じている

なぜ、この会話は噛み合わなかったのでしょうか。ここでは、ふたりが見ている「時間」に決定的なズレが生まれています。

つまり、夫が見ているのは旅行先での出来事すなわち「未来」のことで、妻が話しているのは確かに旅行先での事ではあるけれど、それによって引き起こされている「今」の不安についてです。

よく女性は共感を求めているのに男性は問題解決を急ぐと言われます。この違いを男女論で済ませるのはやや乱暴ではありますが、共感が期待される場でいっぽうが解決策を提示してしまうというのは夫婦のコミュニケーションエラーの定番といえます。

そして、この「共感か、解決か」というボタンの掛け違いを紐解くには、それぞれがどの「時間」に立って話しているか?という視点を持つことがとても有効です。

感情は常に「今」しかない

よくお話をすることですが感情に時間軸というのはありません。それが過去の出来事であっても思い出して悲しくなったり腹が立つ、という時、そこで感じる感情は「今、ここ」で感じるものだからです。

たとえまだ発生していない旅行先での出来事であっても、そのことを思い不安になっているのであれば、その感情は「今、ここ」にあるものです。

そして、原則として感情は、今ここで受け止められ共感されることで消化されていくものです。逆に、今の気持ちを脇に置かれて「解決策」だけを提示されると、時に「私が心配なこと」を無視されているように感じてしまい、大きな感情的ハレーションを引き起こします。

共感のピントを「今」に合わせてみる

もし、夫婦間で会話の行き違いが起こったときは、少し立ち止まって見つめ直してみましょう。

「出かけたくない」のように、妻が(夫が)不安を口にしているとき、それは「大丈夫だという根拠」を示してほしいのではなく、「今、そのことで不安を感じている自分」を分かってほしいというサインかもしれません。

  • 「前向きに考えたほうがいい」
  • 「まだ起きていないことを心配しても仕方ない」

そんな正論が喉元まで出かかったときこそ、ひと呼吸おいて、目の前にある相手の感情に触れてみることで行き違いを避けられるかもしれません

「そうだね、海外はちょっと怖いよね」

「今回は国内旅行にしておこうか」

そんな風に今ある感情に寄り添ってみると、案外「でもやっぱり大丈夫かも」と前向きな答えが返ってくることもあるかもしれません。

大切なのは共感を入り口に会話を深めていくこと。はじめの一歩で躓かないよう、まずは時間軸のズレを調整することができたら、次のステップでは「どうやって不安を解消していくのか?」というディスカッションに入ることもできるはず。

不安な気持ちを「わがまま」や「感情論」として切り捨てるのではなく、二人で解決すべき「共通のハードル」として置き換えてみることが大切なのではないでしょうか


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