カウンセリングの効果を充分なものにするためには、問題の本質を正しく理解することはもちろん、解決に向け適切な「プロセス」を見極めることが重要です。どのように取り組むのか?どうすれば効果が表れやすいのか?など、こちらでは夫婦カウンセリングでの基本となるアプローチについてご紹介しています。
なぜ夫婦の話し合いはうまくいかないのか?
話し合うほど険悪になったり、お互い思ってもいないような言葉で相手を傷つけてしまったり。一度うまくいかなくなるとどんどん拗れてしまうのが夫婦関係の難しいところです。
夫婦仲を改善しようとしているのに、なぜか関係が悪くなってしまう。それは問題と感じている出来事や、認識にそもそもズレがあるからなのかもしれません。
『何度話し合っても結論が出ない。』『いつも感情的になって終わってしまう。』
という時には、表面化した問題だけでなく、その背景にある考え方や価値観、感じ方のクセにまで同時に目を向ける必要があると私たちは考えています。
夫婦の問題は3つの階層に分かれている
夫婦の間に起こる問題は、「コミュニケーション」に関する問題、「価値観」に関する問題、「感情」に関する問題の3つの階層に分類されるのではないかと考えています。
例えば、「ケンカが増えた」「対話が減った」というのはコミュニケーションの問題と言えますし、「話し合っても平行線で結論が出ない」のは価値観や考え方に関する問題なのかもしれません。また「ケンカのたびにヒートアップしてしまう」のは感情のわだかまりが積み重なった結果とも考えられます。
そして、夫婦の問題というのは、これら「コミュニケーション」「価値観や考え方」「感情のわだかまり」が、それぞれ絡み合うことで顕在化します。
夫婦関係の問題3つの階層 1)コミュニケーション …ケンカが増えた、対話が減った 2)価値観や考え方 …考え方が合わない、話し合いが平行線 3)感情 …ヒステリックに怒ってしまう、モヤモヤする等
「話し合ってもいつも平行線で結論が出ないからイライラしてつい、感情的になってしまって。」
「話し合っても疲れるだけなんで、もうあんまり話さなくなってしまいました」
そんな時にはまず、起こっている事象を3つの階層に分類してみることで整理ができますし、解決の糸口も見えてきます。
(1)コミュニケーションの階層:表面化した問題
「最近ちょっとおかしいな」「なんだかうまくいっていないな」そんな風に感じ始めたら、コミュニケーションの行き違いが問題として表面化してきているのかもしれません。
・会話が減ってきた
・ケンカをすると感情的になってしまうことが多い
など、気になり始めた頃なら、少し気をつけて接したり、対話の頻度を高めることで改善する場合も多いのですが、放置しているとケンカが頻発するようになったり、イライラが増えてお互い疲弊してしまいます。
最近はケンカもしなくなってしまって、と冷めた状態になってからでは改善に多くの時間が必要になりますから、違和感を感じ始めた頃に取組み始めることが大切です。
カウンセリングでは主に、誤解や行き違いを生みやすいコミュニケーション・パターンを見つけて伝え方や捉え方をアジャストしていきます。
(2)価値観と考え方の階層:理解されない問題
コミュニケーションに関する問題を掘り下げてみると、ケンカや行き違いの生まれる背景に「価値観の違い」が潜んでいることが少なくありません。
「どうして夫は仕事ばかりで家族を優先してくれないのだろう」「なぜ妻は実家ばかり大事にするんだろう」と価値観や考え方に違和感を感じ始めると、どうしても批判的なコミュニケーションになりやすいため、話す程に衝突が増えたり、対話そのものにうんざりしてしまいやすいものです。
大切にしている価値観や考え方を理解されないと感じるのはとても残念なことですから、「価値観の違い」が不和や不仲の理由と考えるのも自然かもしれませんが、本当の問題は「価値観が違うこと」ではなく、「違うことを許容できなくなっていること」だと私たちは考えています。
カウンセリングではまず、「違い」を理解することに目を向けるとともに、「違いを許せない」と感じるに至った至った背景を見つめていきます。
(3)感情の階層:潜在的な問題
夫婦関係を改善しようと話し合いを重ねるほどに関係性が悪くなってしまう。あるいは価値観の違いをどうしても受け容れられない、という時。そこには、コミュニケーションの行き違いや理解されない価値観の問題があるだけでなく、永い時間をかけて根を張ってきた「感情のわだかまり」が隠れているいるのではないかと考えています。
「あの時もあなたはそうだった」「いつも君はそうじゃないか」と、過去の時間軸で気持ちが溢れてしまう時には、未消化のまま心の奥にしまい込んでいた感情が表出しているのかもしれません。
カウンセリングでは、コミュニケーションや価値観の違いといった、表面化しやすい問題だけでなく、心の中にあって、考え方やコミュニケーションにも影響を与えている感情についても見つめていきます。
こうして、組み合わさると手がつけられないように思える問題も、もつれを解いて選り分けてみれば案外シンプルな場合が多いものです。LifeDesignLaboではそれぞれの階層毎に適切なアプローチでカウンセリングを進めていきます。
LifeDesignLaboのアプローチ
問題となっていることの整理と分類
「コミュニケーション」「価値観や考え方」「感情」と、3つの異なる階層の問題はそれぞれが互いに影響しあいながら夫婦関係の問題を複雑に見せています。LifeDesignLaboの夫婦カウンセリングでは、まず起こっている事象や問題と感じているポイントをそれぞれの領域に分類することから始めます。
こうして問題が整理されることで取り組む道筋が見えてくるとともに、閉塞感から解放されて気持ちが楽になる場合もあります。
問題が整理されたら、次に具体的なカウンセリングプランを考えていきます。実際のカウンセリングではご夫婦毎、事象毎に進め方に違いがありますが、まずは問題の深いところから見つめることを基本に「感情」→「価値観と考え方」→「コミュニケーション」の流れをベースにプランを立てていきます。
「わだかまり」から始める。
「わだかまり」は、解消されないまま心に留まっている不満や疑念などの感情です。それは多くの場合、言語化されない心のモヤモヤや重苦しさとして認識されますが、これまでにふたりの間に起こった「ネガティブな出来事」を掘り下げていくことで明らかにすることができます。
何に怒り、何が悲しくて、何に傷ついているのか?
まずは、わだかまりの核にある感情を紐解いていくことで、心の滞りを解消していきます。
傷ついた心をケアする
浮気や不貞、分かり会えない行き違いで傷ついた気持ちのままでは、関係修復にも前向きに取り組めない場合があります。そんなケースでは、心の痛みを和らげるためのセラピーを通して心の負担が軽くなるようサポートします。
価値観の違いを理解する
考え方や価値観の違いについて考えていきます。価値観の違いを見つめると、そこには埋め合わせることができない大きな溝があるように感じられるかもしれませんが、ここでは違うことが問題なのではなく、違うことを許せないのはなぜか?という視点で見直していきます。
コミュニケーションパターンを見直す
価値観の違いを見つめると同時に、誤解や行き違いを生み出しているコミュニケーションのクセや考え方のパターンについても見直していきます。どんな言葉に傷つき、どんな態度が誤解を生んでいるのか?等、言葉の選び方や伝え方、声のトーン、無意識の態度に至るまで客観的な視点を交えて理解を深め、それぞれにとって最適な形を見つけていきます。
感情の整え方を理解する
気持ちのわだかまりは、カウンセリングを重ねる中でより強く感じられるようになる場合があります。そんな時のために、感情の扱い方、整え方についてレクチャーを行います。過去のネガティブな出来事を思い出すのは辛いものですから、できるだけ負担が軽くなるよう進めていきます。
事例紹介:夫婦カウンセリングのアプローチ
10組のご夫婦がいらっしゃれば10通りのカウンセリングがあります。それでも解決したい問題や方向性によって進め方にはいくつかのパターンがあります。ご相談事例の多いケースからカウンセリングの進め方をいくつかご紹介します。
case1:価値観の違いが埋まらない case2:離婚したい/離婚したくない case3:パートナーの浮気・不倫 case4:自身の浮気・不倫
case1 価値観の違いが埋まらない
仕事やお金、育児の方針など、価値観に関する意見の相違が埋まらない、という時には、それぞれの価値観について見つめていきます。自分が何に価値を感じているのか、どんなことを大切にしているのかを正しく理解し、相手が何に価値を感じ、大切にしているのかについても考えます。
◎自分の価値観を知る
価値観の違いについて正しく理解するためには、まず自分が何に価値を置いているのかを知る必要があります。カウンセリングでは「仕事」「お金」「子ども」「両親」「友人関係」「趣味」「セックス」等、違いが生まれやすい項目について掘り下げて考えてみます。
◎感情のわだかまりを見つめる
「違うこと」でどんな気持ちになることが多いのか、どんなコミュニケーションを取ってしまうのか、という視点から感情のわだかまりについて掘り下げます。また、必要に応じてわだかまりを解消するためのワークを行う場合もあります。
◎価値観の違いについて理解を深める
わだかまりを理解し、溜まった感情をケアすることができたら、それぞれが大切にしている価値観や考え方についてあらためて共有する時間を取ります。
ここでは「違うこと」にフォーカスするのではなく、理解することに取り組んでいきます。違いを理解し、話し合うための環境が整ったところで、対話を実践します。
POINT ・ご夫婦での取り組みが効果的です ・オンラインカウンセリングに適しています
case2 離婚したい/離婚したくない
離婚がテーマになるカウンセリングの場合、双方の意見が平行線のまま進まなくなっていることがほとんどです。また、ご夫婦での取り組みと、おひとりでの取り組みとでは進め方も変わります。
ご夫婦で取り組まれる場合には、「離婚をしたい」と思い至るまでの経緯を共有するとともに、傷ついた感情のケアを行う必要があります。その上で、後悔のない選択ができるよう話し合いの環境を整えていきます。
おひとりから取り組まれる場合はこれに加えて、話し合いのテーブルに相手側にも就いてもらえるよう具体的なアプローチについて検討します。
◎「離婚をしたい」に至る背景を理解する
離婚を望む側にとって、そこに至った背景を理解してもらうことは傷ついてわだかまってしまった心を軽くするうえで効果的です。いっぽう、離婚を望まない側にとってはこの取り組みそのものが深く傷つくことでもありますから、それぞれにとって気持ちの負担が軽くなるよう心のケアを同時に進めます。ご夫婦でのお取り組みに加え、個別でのカウンセリングをご提案する場合もあります。
◎話し合いができる環境をつくる
心のケアを通して感情のわだかまりを小さくするとともに、話し合いがでいる環境を整えていきます。経済的な不安や保育の環境など不安要素が具体化している場合はまずそれを取り除くための調整を行います。また、日常的にストレスが大きく気持ちの整理が追いつかない場合はそれを軽減するための取り組みを提案します。
◎コミュニケーションパターンを見直す
伝えたいことが正しく伝わるよう、対話においてネガティブな影響を引き起こす可能性がある話し方や考え方のクセ、無意識の態度などについて見直しを行います。
◎対話を重ねていく
ご夫婦でのお取り組みであれば、カウンセラーを交えた対話を重ねていくことでお互いに納得のいく選択ができるようサポートを行います。おひとりでのお取り組みの場合、パートナーにもカウンセリングに参加いただけるよう誘いかけるとともに、それが困難なケースも想定したアプローチを検討します。
POINT ・ご夫婦+個別でのお取り組みが効果的です ・アクションプランのご提案を行います
case3 パートナーの浮気・不倫
夫や妻の浮気・不倫は心に深い傷を残すものです。カウンセリングではまず、傷ついた心のケアを最優先にこの先どんな夫婦関係を描いてゆきたいのか冷静に見つめられるようサポートを行っていきます。
◎傷ついた心を回復させる
心に深いダメージを負ったままで大切な選択をすることがないよう、まずは傷ついた心のケアを行います。ご夫婦でのお取り組みを前提にされている場合でも、ここではまずはおひとりでのお取り組みになるケースがほとんどです。
併せて新たな傷を作らないよう、再発防止の取り組みや不安になる気持ちとの向き合い方についても考えていきます。
◎問題の本質を見極める
傷ついた心の回復が進んだところで浮気や不倫の背景に潜んだ問題の本質に目を向けます。夫婦の歴史を振り返ってそれぞれが抱いてきた不満や不安に理解を注いでいきます。原則としてご夫婦でのお取り組みをお勧めしています。
◎これからのことを考える
フラットな状態でこれからどうしたいのか?について考えてみる時間を取ります。不安に感じることがあれば都度ケアをしながら、後悔のない選択ができるようサポートをします。
POINT ・感情のケアを最優先します ・個別でのお取り組みとご夫婦でのお取り組みを分けてご提案します
case4 自身の浮気・不倫
自らの不貞行為で妻や夫を傷つけてしまった、という場合、ほとんどの方が相手のケアを望んでカウンセリングにお越しになります。いっぽう、浮気をされた側としては、なぜそうなってしまったのか?をしっかりと受け止めて見つめ直してほしい、という思いが強いものです。カウンセリングでは、浮気や不倫に至る経緯から心理背景まで検討し、問題が繰り返さないようサポートをします。
◎不貞行為の背景をみつめる
たとえ夫婦関係が円満であっても、浮気や不倫は起こりうるものです。何がきっかけで不貞行為に至ってしまったのか、心理的な要素を含めて見直してみることで再発を防ぐ方法を探ります。また、このプロセスを通して夫婦間の潜在的な問題が見えてくる場合もあります。
◎なぜそれが必要になったか?を知る
もしそれが繰り返す問題であるなら、ただ禁じるだけでは防止にならない場合があります。浮気や不貞行為に何を求めていたのか?なぜそれが必要なのか?を見つめてみることで、満たされない心の溝や隙間の存在が見つかる場合があります。
◎心の空白を埋める
満たされない心の溝や隙間を見つけたら、そこに空いた空白を埋めるための取り組みを行います。ご夫婦での取り組みになるケースもありますが、個別でのお取り組みになることが少なくありません。
POINT ・自分事として取り組むことが必要 ・個別でのお取り組みをベースに、ご夫婦でも
夫婦カウンセリングで失敗しないために
人生をかけて、そんな思いで取組む夫婦カウンセリングで後悔しないために、夫婦カウンセリングをより効果的なものにするためのお願いがあります。
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①相手を変えようとしないで
相手は変えられない。使い古されたような表現にも思えますが、夫婦のカウンセリングではとても大切な事のひとつです。夫婦カウンセリングではカウンセラーが介入することで、これまで相手に伝えられなかった気持ちや、考えが伝わっていく、理解されていく、という感覚を実感することが多くなります。
そんな時には、カウンセリングを通して相手が変わってくれるのではないか、という気持ちが強くなることもあるかもしれませんが、「変わってほしい」と相手にばかり期待をするスタンスは、時にカウンセリングの進みを妨げる場合があります。
「変わっていくこと」は少なくありませんが、それを期待されていると感じると人は無意識に抵抗感を感じるものです。
まずは相手を変えようとするのではなく、必要な変化なら率先して受け入れてみる、そんなスタンスがカウンセリングの効果を高めてくれます。
②主体的な気持ちで
相手を変えようとしない、と対になる考え方が「主体的である」ということです。それは問題と向き合う力が自分には備わっている、ということを再認識することでもあります。
離婚や浮気など、夫婦の間で起こる問題の中には、解決のハンドルが相手にあるかのように感じてしまうテーマが少なくありません。だからこそ「相手に変わってほしい」と考えてしまうのですが大切なのはまず、それぞれが後悔のない選択をできるようになることだと私たちは考えています。
そのためにもハンドルは常に自分自身が持っている、という考え方に立つことが必要です。
③ネガティブな思いもオープンに
どんな気持ちも考えも、できるだけオープンにしていくことがカウンセリングの深みを作ります。
普段からネガティブな感情や考えを口にしないでいる、という人ほど、カウンセリングも冷静に進めようとされるのですが、夫婦の間で起こる問題の多くは「感情」に由来することが多いのです。
冷静にロジカルに向き合うだけでは触れらない深みにこそ、取組むテーマが潜んでいることが少なくありません。
ネガティブな感情もオープンに話してみることで、これまでとは違った側面への理解が進み、思いもよらない反応が返ってくることもあるのです。
夫婦カウンセリングで失敗しないために必要なこと 1.相手を変えようとしない 2.主体的な気持ちで 3.ネガティブな思いもオープンに
LifeDesignLaboの夫婦カウンセリングでは、お互いの考えや主張を伝え合うだけでなく、こじれた関係性や傷ついた夫婦仲を改善するためにアプローチをしていきます。
自分自身の傷ついた心と向き合うこと、そして相手の気持ちにも理解を寄せることが停滞した夫婦関係にポジティブな反応をもたらしてくれると私たちは考えています。
夫婦カウンセリングをもっと知る
LifeDesignLaboの特長、夫婦カウンセリングの進め方についてご紹介しています。 ⇒LifeDesignLaboの夫婦カウンセリング
夫婦で一緒に受けるのか?実際は何回くらい通うのか?など、気になる夫婦カウンセリングの疑問について、統計データの一部を参照しながら、LifeDesignLaboの夫婦カウンセリングについてご紹介しています。 ⇒夫婦カウンセリングの実際