問題意識にズレはないか?
夫婦の間に起こるトラブルを注意深く扱わなくてはならない理由のひとつには、共通認識と思われていた問題の本質が、実は異なっていることが少なくないからです。
例えば「浮気」がきっかけとなった夫婦関係の危機であったとしても、「浮気をされたという事実」が問題になっているケースもあれば、「傷ついた”気持ち”がケアされていない」ことが問題になっているケースもあります。また、表面化するまでに積み上げられてきた見えない「感情のわだかまり」が問題になっていることもあります。
問題と感じていることは何か?起こった出来事ではなく、その出来事をどのように捉えているのか?を見直すことで、夫婦としてのテーマを見つけることができます。
テーマが見つかれば、自ずと取り組み方や方向性も見つかりやすくなります。
問題意識のズレがディスコミュニケーションを生む
問題と感じていることが異なれば、当然コミュニケーションにはズレが生まれやすくなります。
浮気の例で言えば、浮気をした側が「浮気という出来事」に問題意識を持っている場合、コミュニケーションは謝罪を前提とした罪悪感がつきまとうことになるでしょう。心理的に人は、罪悪感を感じる事柄からは無意識に距離を取りたくなる傾向があるため、浮気をした側はこのコミュニケーションを「早く終わらせたい」、「浮気についてはもう十分謝ったんだから、もうこの話題には触れたくない」と感じるようになります。
その結果「何度も謝ってる」「これ以上どうすればいいんだよ」と言った具合に、開き直りとも取れるような態度を取ってしまことも少なくありません。
いっぽう、浮気された側が「浮気という出来事」そのものより、浮気によって傷ついた気持ちのケアがなされていないことに問題意識を抱いているケースでは、どんなに謝ってもらってもしっくりとはこないでしょう。過去の出来事に謝られることよりも、今の気持ちに寄り添ってくれること、が重要であるからです。
すると「謝ればいいわけじゃない」「それで終わり?」という気持ちになったり、「ホントに反省してるの?」とひと言責めたい気持ちにもなるものです。
まずは問題意識のズレをなくすこと
夫婦の間に「問題意識のズレ」がある間は、どんなに話し合いを重ねても効果はありません。そればかりか、時間を使えば使うほどに、フラストレーションも大きくなって、互いに傷ついてしまいます。
夫婦の関係を良くしたい、とせっかく向き合っているのに、ますます関係が悪くなってしまうというのはとてももったいないことですから、まずはそれぞれが起こった出来事や事象のどこに問題を感じているのか?について、よく理解しておくことが大切です。
次にリストアップする、夫婦のテーマと問題に感じることの事例を参考に、チェックしてみてください。
浮気や不倫 浮気という行為/浮気相手への心移り/傷ついた気持ちへのケア/浮気にまつわる金銭的な支出 等
仕事・お金 収入が少ない/支出が多い/収入と支出のバランス/評価されていないと感じる/他者と比較されていると感じる/将来への不安/働き方への問題意識/休み方への問題意識 等
食事 食材や味付けの好み/食べ方/作り方/コストのかけ方/準備の仕方/担当分担 等
育児 教育方針/分担/子どもへのコミュニケーション/遊びの方向性/しつけの方向性/子どもの前での親の態度/義両親の子どもへの関わり方 等
両親との関わり方 帰省の頻度/同居・非同居/子どもへの関わり方/自身の両親と義両親への関わり方のギャップ/味方をしない/味方をしてくれない 等
友人との関わり方 家族の時間とのバランス/頻度/時間配分/異性の友人との距離感/配慮のなさ/過度な干渉 等
これらは一例ですが、夫婦で話し合いをする際に大切なのはあなたが何に問題意識を持ち、夫や妻がどこに問題意識を持っているのか?ということです。
夫婦のカウンセリングを進めていくと、そもそも問題と感じている出来事の背景にはお互いが相手を思いやる気持ちが隠れていた、ということが少なくありません。
まずは自分が問題意識を持っている事象について、ひとつ深堀りをしてみること。そして、パートナーはそれをどう考えているのか?という意識をもってみることが大切なのではないかと思います。
(関連ページ)