夫婦の関係を改善する10の方法
どうすればふたりの関係を改善できるのか?たとえ離婚を望む側であったとしても「いがみ合ったまま」で良いと考えるひとはないでしょう。夫婦のカウンセリングというのは本質的に、関係性を改善することがテーマなのだと思うのです。
いっぽう、いったんもつれてしまった夫婦関係を修復することは時にとても難しいことでもあります。こちらでは、ふたりの関係性を改善するために知っておいて欲しい10項目をご紹介します。
1.問題と感じていることは共有されているか?
夫婦の間に起こるトラブルを注意深く扱わなくてはならない理由のひとつには、共通認識と思われていた問題の本質が、実は異なっていることが少なくないからです。
例えば「浮気」がきっかけとなった夫婦関係の危機であったとしても、「浮気をされたという事実」が問題になっているケースもあれば、「傷ついた気持ちが未だにケアされていない」ことに問題意識が向かっていることもあります。浮気に至るまでに積み上げられてきた見えない「もつれ」が問題になっていることもあります。
問題と感じていることは何か?起こった出来事や事件ではなく、その出来事をどのように捉えているのか?解釈をしているのか?を見直すことで、本質的なふたりのテーマを見つけることができます。
2.対話にズレはないか?
交わされている対話そのものに、ズレが有るというケースもあります。
「夫婦関係を改善したい」という表現ひとつをとってみても、それぞれが望む「関係性の質」や「改善の内容・度合い」は確認しなければわかりません。「結婚前の恋人同士のようになる」ことを改善と呼ぶ場合もあれば、「ケンカしないで穏やかにすごせること」を改善と呼ぶこともあります。
問題やテーマの認識と共に、使う言葉にも共通の認識と解釈がなければ話し合いをすればするほど行き違いが深まってしまうことも少なくありません。
人は誰でも自分のメガネを通して相手を見ているもの。まずはあなたが見ているもの、聞いていること、話していることのすべては、あなただけの世界のものであり、パートナーにはパートナーの世界があるということを認識すること。話し合う程にギャップが大きくなってしまうことを避けるためにも、まずは対話のズレを認識しておくことが大切です。
3.感情的になりすぎていないか?
夫婦関係に頭を悩ませる男性の多くは、感情的な妻の態度がふたりの関係を悪化させている、と主張するかもしれません。いっぽう「都合が悪くなると怒り出す」「不機嫌になって黙り込む」といった夫の態度が関係改善の邪魔をしている、というのもまた女性陣からはよく聞こえてくる意見でもあります。
怒りをぶつけ合ったり、涙を流したり、感情的にというと激しい感情表現をイメージするかもしれませんが、実際には感情を爆発させるようなことはあまりなく、むしろ静かに心の中でフツフツと、というケースがほとんどかもしれません。
それでも、発散されずに内側に篭った感情はオーラのようにネガティブな空気をふたりの間に醸し出して、じわじわと夫婦関係を蝕んでいきます。
夫婦の関係に取り組む際には、まずはあなたもパートナーも、自分が思う以上に感情的になっているのかも知れない、という視点を持っておくことが大切。そうすることで却って冷静に取り組んでいけるものです。
4.どんな声で話しているか?
声には感情を揺さぶる作用があります。
「ごめんなさいね」という言葉を発するとしても、それがどんな声質で放たれたか?によって、受け取る側の印象は随分と変わってくるものです。私たちは言葉を「文字」だけでなく「音」として捉えています。そして「音」には、文字にならない生の感情が宿ります。
どんな言葉で伝えるか?も大切ですが、対話においてはどんな「声」で伝えるか?が重要。夫婦関係を改善しようとするなら、あなたが持っているなかでいちばん優しい声で話しかけることです。
5.どんな態度で接しているか?
声に感情が宿る様に、態度には心の状態が映し出されます。
夫婦の関係がどこかうまくいかない、ギクシャクするという時には感情的な衝突以上に、不自然な態度や良くない態度の応酬が繰り返されている場合があります。
対話をする時、話を聞く時、あなたがどんな態度で妻に夫に向き合っているでしょう?ひょっとしたら自分で思う以上に、ぞんざいな仕草、悪い態度を取ってはいないでしょうか?
夫婦関係の方向付けをするのは、そんなちょっとした態度の積み重ねなのかもしれません。
6.どんな反応をしているか?
ふたりの間に起こった出来事に対してどんな反応をしているか?に意識的であることは夫婦関係を崩壊から守るうえでとても有効な方法のひとつです。
相手を傷つけるような暴言や態度について、意図的にそうしている。ということはあまりなく、トラブルの原因というのは殆どの場合、無意識の態度や行動、つまり自分でも気づいていないような反応の中に隠れています。
知らず識らずのうちにとってしまう反応に、意識的になっておくことで意図せず相手を傷つけることもなくなるし、思わぬ誤解を招く事態も回避できるようになります。
7.「修復を前提」にできているか?
夫婦関係の修復や改善を望む場合でも、その背景に積み重ねた我慢や不満が蓄積していると、話し合いを進めていく過程の中で積み重なったわだかまりが言葉になって表面化してくる場合があります。
「あの時もあなたはこうだった。」と、過去の出来事を口にしたくなったら要注意。それは、ふたりの関係を改善するうえでマイナスの作用を生みはしないか、チェックが必要です。
もうお別れするからいいや、ということなら別ですが、これからも夫婦として同じ未来を歩くなら、信頼関係を傷つけてしまうアプローチは禁物。それはちゃんと修復を前提にしたアプローチか?をいつも、確かめながら進めていくことが大切です。
8.「怒っていること」に気づけているか?
過ぎた出来事にわだかまりがあると、つい私たちは過去の自分をケアしたくなるものです。
ケンカをして、言い返したかったけれど我慢した。
傷ついたけれど、なかったコトにして責めなかった。
あの日、ふたりの関係を守るために呑み込んだ言葉や気持ちがあふれそうになる時には、それを表現する前に、ひと呼吸をおいてみることが大切。悲しかったことや、嫌だった気持ち、そしてそのことに怒っていることに気づくことができたなら、不用意に夫婦の関係を傷つけるようなアプローチも避けられます。
怒らないことではなく怒っていることに気づくことが、ふたりの関係を守るうえでは大切なことなのです。
9.主体的に取り組めているか?
夫婦の間で起こることはどんなこともすべて、ふたりの問題であるという見方をしてみます。
もちろん、浮気や不倫など、そうとは考えられない出来事もあるのですが、それさえもふたりの問題、と見ることができれば、夫婦関係は劇的に変化をしていきます。
もしも夫婦関係がうまくいかない理由がすべて、彼の彼女の問題であるとしたなら、あなたは関係修復において無力ということになってしまう。たとえそれが、100%相手の問題と思えるような出来事であったとしても、ふたりの間で起こったことのすべては私の問題でもある、という捉え方ができれば、あなたは関係修復の主導権を取ることができます。
主体的に取り組むということは、関係修復にコミットをするということ。そうすることで、思いがけない勇気や力が生まれてくるし、結果として相手のコミットを引出すことにも繋がります。
10.相手を尊重できているか?
夫婦の関係に傷つくと、誰でも相手を責めたくなるものです。
けれど、これから先もふたりで共に人生を歩むことを目指すならば、そのパートナーとして選んだ相手を尊重することはあなた自身の人生を大切にすることにも繋がります。
妻を、夫を大切にする、尊重する。ということと、自分自身を大切にする、尊重する。ということを、並列にあつかうこと。夫婦をひとつのチームとして捉え、それぞれを尊重することが、夫婦の関係修復には欠かせません。
夫婦の日常には、様々な出来事が待ち受けていて、価値観の違いや違和感を覚えるような出来事が年々増えてくるものです。そんな時には、相手の価値観を自分の価値観に合わせるでもなく、自分の価値観を相手の価値観に合わせるのでもなく、それぞれの価値観を大切にすることが大切。
相手を尊重できているか?という問いかけをもっておくことが、助けになるはずです。
うまくいかない夫婦の関係を改善するためには、お互いが見ているもの、問題と感じていることが何か?を知っておくことが大切です。同じテーマで話し合っているつもりでも私たちは、自分のメガネを通した世界で相手を見ています。
まずはそのことに気づいておくこと、そして放っておけばすれ違っていくコミュニケーションや価値観の違いを前提に、相手を理解するための努力を続けることが、夫婦の関係を修復に導いてくれます。