カウンセラー安東秀海の想い
パートナーの居場所になる覚悟。
私たちは皆、人との関わり合いの中で、自分の居場所を探しながら生きています。”夫婦”になるということは、これまでひとりで生きてきたふたりが、生活を、時間を、そして人生を共有し、それぞれがパートナーの”居場所”になっていくということなのではないかと思うのです。
終電が終わって、どうしてホテル代と変わらないタクシー代を払ってまで家に帰るのか?
友人からのお誘いに、なぜ二つ返事でイエスを言わないのか?
それは、少しの睡眠やお友達との時間より、大切にしたいものや優先すべきものがそこにあるからで、パートナーの居場所になるということは、そんな風にちょっとずつ、自分の心の中に「パートナーのためのスペース」を作っていくということでもあるのでないでしょうか。
けれど私たちは、様々な理由から、心の中に十分なスペースを用意できなくなってしまう場合があります。
忙しく心を忘れてしまうような毎日や、心を置き去りにして向き合うハードワークなど、私たちを取り巻く環境はいつも私たちに優しいとは限らないからです。
このところ、夫婦の時間が少なくなっているな。
随分とふたりだけで対話をしていないな。
と、感じるような時、そんな時には心の中に「パートナーのためのスペース」が不足しているのかもしれません。
パートナーとの関係に心を割くことが難しく感じる。
優しい言葉をかけることができない。
前向きなふたりの未来を想像できない。
そんな時にはまず、疲れた体を充分に休め、心の中に「自分のためのスペース」を空けることが大切です。
夫や妻に、優しくできない、つい強い口調になってしまう、という時はほとんどの場合、自分自身にも優しくできていないものですから。
自分のために時間を使い、自分に少し優しくなれたら、もう一度、心の中にパートナーのためのスペースを作ってみる取り組みを始めましょう。
あなたの心の中にパートナーのためのスペースが充分に確保できているか?
あなたの心の中に、あなたのためのスペースが充分にある残っているか?
夫婦の問題と取り組むためにはまず、自分自身のコンディションを整えて、自分のそしてパートナーのためのスペースを空けることから始めていきましょう。
美味しいものを食べたり、自分のためだけにお茶を淹れてみたりと、ほんの小さな変化からでも大丈夫です。
そうやって心に少し自分のためのスペースができたら、その隣にパートナーのためのスペースを作っていきます。
パートナーの居場所になる、というとどこか難しく感じてしまうかもしれませんが、実は多くのご夫婦が元来はそうであったのだと思うのです。だからこそ、何か特別なことをしなければならない、と気負わず、元の姿に戻っていくことをイメージしておくと良いのかもしれません。
夫として、妻として、パートナーのために何かしてあげたい、そう考えたことが一度でもあるなら大丈夫。
そこにはパートナーの居場所になる覚悟の片鱗があるはずですから。
Profile counselor 安東 秀海 夫婦カウンセラー。妻とともに夫婦専門のカウンセリングオフィス「LifeDesignLabo」を主宰。東京渋谷のカウンセリングルームには不倫やセックスレス等様々な問題を抱える夫婦が日々訪れ、2023年7月現在サポートしてきた夫婦は2000組に上る。機能不全に陥った夫婦の関係性を読み解き、健全なパートナーシップ構築へと導くことを得意とする。心理カウンセラーとして10年以上臨床に携わってきた実績から多彩なアプローチ手法を持ち、心理療法(セラピー)や心理ワークにも精通する。